冷戦の壁を崩壊へと導いた3人のロックミュージシャン

あけましておめでとうございます。
よろしければ今年もおつきあいくださいね ^ ^

年末の30日、NHKで放送された「映像の世紀バタフライエフェクト『ロックが壊した冷戦の壁』」という番組を観た。
冷戦の壁を崩壊へと導いた3人のロックミュージシャンと鼓舞された人たちについての物語ーその3人とはニナ・ハーゲン、デヴィッド・ボウイ、そしてベルベット・アンダーグラウンドルー・リード)。

NHK映像の世紀バタフライエフェクト「ロックが壊した冷戦の壁」より)


当局の厳しい管理下に置かれていたビートルズの音楽がやすやすと冷戦の壁を超えたところから物語は始まる。
その東ドイツビートルズに夢中になった19歳のニナ・ハーゲン、自由のない東ドイツへの抵抗のメッセージを潜ませた「カラーフィルムを忘れたのね」が大ヒット。


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ニナ・ハーゲンがこんなに可愛らしかったことに驚いた。
私が中学生の頃はどぎついメイクと奇抜な衣装、パンクオペラ?のような歌い方で正直、色物的イメージが強くちゃんと聴いたことはほぼなかった。

自由奔放なニナは当局に目をつけられ、その後は西へ亡命。
亡命してからも「自分はドイツ人ではなく東ドイツ人だ」と語っていた。

同じころ、精神的に疲弊し西ベルリンに移り住んだデヴィッド・ボウイ
ベルリンの壁の前の広場でライヴを行ったボウイ、その時スピーカーの1/4は東側へ向けられていた。

「今夜はみんなで幸せを祈ろう、壁の向こう側にいる友人たちのために」
と呼びかけ ♪ヒーローズを歌うボウイが最高!! これは泣く (T_T)


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壁の向こうで一緒に歌っていた若者たち、表立って権力に逆らうことはなかった東の人たちが「ここから出せ!」と怒りをぶちまけ当局に向かっていくーそんな壁崩壊への第一歩は間違いなくボウイが導いたもの。

そして3人目はルー・リード
後にチェコスロバキアの首相になる劇作家のヴァーツラフ・ハヴェルが、NYからチェコに持ち帰ったベルベット・アンダーグラウンドのレコードからチェコスロバキアの歴史が変わっていく。


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ベルベット・アンダーグラウンドに心酔し結成されたバンドPPU、彼らは政治的な見解を示したわけでもなくロックを演奏したという理由だけで逮捕されてしまう。
このことを許すとチェコには表現の自由が一切なくなってしまうと危機感を持ったハヴェルが行動、反体制派のコミュニティが結成される。

ベルリンの壁崩壊はチェコの若者の背中を押し、プラハ共産党政権に反対する大きなデモとなる。
ハヴェルは若者たちのデモを国全体の大きなうねりへと導き、それは革命となり共産党政権は終わりを迎える。

ルー・リードヴァーツラフ・ハヴェルの親交は生涯を通して続いた。
ハヴェルはアメリカからのインタビュアーにルー・リードを指名、その時の音声が流れたり、チェコの小さな店でPPUと一緒に行ったライヴのシーンなども流れる。
そしてハヴェルが招かれたホワイトハウスルー・リードも呼ばれ、当時のクリントン大統領夫妻や来賓者たちの前で「 I'm Waiting For The Man」を演奏するシーンまで流れる。
当時、ルー・リードホワイトハウスに招かれたこと私の周りでは話題になっていた、笑いながら話すような感じの。
それくらいイメージ的には不釣り合いな感じだったけど、ハヴェルがユーモアたっぷりにプラハで発売されたルー・リードの楽曲本にサインをお願いした時のルーさまの顔!!
何度かライヴに行っているけど、あんなに嬉しそうな顔は見たことない。
ローリー・アンダーソンと一緒にNYのキャットショーへ行った時の写真もすごく幸せそうだったな…。

他にもチェコスロバキアのレノン・ウォール前で行われたジョン・レノン追悼集会での逮捕劇なども描かれる。
ドイツ初の女性首相アンゲラ・メルケルとニナ・ハーゲンのことーTVの討論会でニナに偽善者呼ばわりされ席を立たれてしまった時、微笑みを浮かべているメルケルがとっても印象的、2人は共に東ドイツ生まれで歳は1つ違い、抱えてきた思いは同じはず。
そしてメルケルが退任式で選んだ曲は「カラーフィルムを忘れたのね」だったという事実が感慨深い。

「音楽で世界は変えられない」
でも、人々の魂を呼び覚ますものとして「音楽は世界を変えることに貢献できる」という事実をあらためて見せつけられたような番組だった。

もう一度觀たくておもわずNHKプラスに登録、何度も觀ている私 (;^ω^)
無料の見逃し配信で7日まで觀られるようです。
…ってもう明日なのね~もっと早く書くべきでした…。

しめはルー・リードとボウイ共演の「 I'm Waiting For The Man」で。


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ボウイが亡くなった時、ドイツ外務省が出した追悼文

デヴィッド・ボウイよ さようなら あなたは私たちの “Hero” です 壁の崩壊に力を貸してくれて ありがとう

10日はボウイの命日です。